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訴状に記載する訴額、貼用印紙、予納郵券の調べ方【法律事務の実務】

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訴状に記載する訴額、貼用印紙、予納郵券の調べ方【法律事務の実務】

訴状に記載する訴訟物の価額、貼用印紙、予納郵券の調べ方

目次

訴状や申立書を作成する際に、必ず記載するのが、

  • 訴訟物の価額
  • 貼用印紙
  • 予納郵券

の金額です。

初めて起案するときには、一つ一つの記載事項について、いちいち躓いてしまうものです。

そこで、今回は、各金額を確認や算定する際の調べ方について確認していきます。

訴訟物の価額、貼用印紙の調べ方

そもそも訴訟物とは

訴訟物は、審判の対象となる特定の権利・義務または法律関係のことです。

管轄や審判の対象の判断の際に問題となります。

訴訟物の価額とは

訴訟物の価額とは、申立手数料の判断をする際に問題となる概念です。

裁判所に訴訟を申立てる際の申立手数料です。

基本的には、請求の金額(原告の主張する利益)をそのまま記載すれば足ります(民訴費4条1項、民訴8条)。

例えば、法定相続人1人が単独で取得するないようの遺言無効確認の訴えの場合には、遺言が無効となることにより、請求者の法定相続分が回復することになるので、遺言の対象となっている遺産の総額のうちの法定相続分が、訴訟物の価額となります。

なお、遅損金の請求などの附帯請求はこれに含めません。

また、算定困難な場合には、160万円と記載することとなります。

貼用印紙の調べ方

上記の手順で、訴訟物の価額を算定できたら、これに応じた印紙を算定します。

早見表を用いる算出方法

必要な要素は、

  • 訴訟、調停など裁判手続きの種類
  • 訴訟物の価額

です。

これらを元に、下記裁判所のHPにある早見表で算出します。

https://www.courts.go.jp/saiban/tetuzuki/tesuuryou/index.html

なお、民訴費の別表第一が、上記早見表の根拠ですが、これを参照しての算出は手間でしょう。

ツールを用いて算出する方法

「貼用印紙 計算」などでググると出てくるツールを用いると簡単に算出できます。

必要な要素は、上記と同様です。

特定の法律事務所のツールはリンクを張りづらいので、下記のツールのリンクを張っておきます。

http://www5d.biglobe.ne.jp/Jusl/MinjiJiken/tesuuryo2.html

詳細な算出方法

以上は、簡易な算出方法になりますが、複雑な事件類型などは、厳密な考え方を理解できた方がいいでしょう。

その場合は、岡口裁判官の民事訴訟マニュアル上巻の171頁以下に解説がありますので参照してみてください。

 

予納郵券の調べ方

予納郵券は、裁判所ごとに必要な金額、組み合わせが異なるにもかかわらず、一般公表されているものとされていないものとがあります。

裁判所のHPで確認する方法

裁判所の規模の大小にかかわらず、公表されているかされていないかまちまちですので、当該事案の管轄裁判所のHPで予納郵券の表がないかどうか確認してください。

納付方法は、

  • 郵券(切手のこと。総額と組み合わせの指定がある。)
  • 現金

です。

電話で確認する方法

HPに掲載されていない場合は、電話で確認するしかありません。

又は、これまでの事務所内の記録を遡るという方法によるでしょう。

ただし、この場合は、近年、郵券の金額が変更されていることを反映したものかどうかの確認をしてください。

予納郵券のリストの作成

HPに掲載されていない場合でかつ従前の事務所内での蓄積もない場合、面倒ですが、1個1個の申立てをする際に確認を取るしかないでしょう。

私は、個人的に二度手間を防ぎたい性格ですので、毎回確認するごとに予納郵券のリストを作成し、次回の同種事件申立ての際に再度架電せず済むようにしています。

裁判所は、基本的に5時までしか空いていませんから、必要な時に空いてないということも多々あります。

そのため、日頃の積み重ねが重要になってくる部分でしょう。

訴状作成の際のマニュアル

上記にも掲載しましたが、岡口裁判官の民事訴訟マニュアル上下巻は手元にあると良いでしょう。

毎回裁判所に架電して確認するというのも事件が少ないうちは、仕事が回るかもしれませんが、1個1個の事件の大きさがあまり大きくない町弁の仕事をする上では、二度手間は、積もって大きな足かせとなります。

そのため、上記のように、データの蓄積を図ることも重要ですし、手許の資料を開けば足りることであれば、聞くだけの時間の節約をできます。

事務所にない、という方は、ぜひとも手許に置いておくとよいでしょう。

 まとめ

弁護士業務は、中身の部分にどれだけ集中できる体制を整えられるかで後々大きな差が開いてく世界です。

事務作業部分を事務員に任せられるのであれば、それで足りると思いますが、必ずしもすべての業務を事務員がいる時間にできるとも限らないでしょう。

そのため、可能な限り、自分で行う事務作業は、短時間に抑え、集中するべき中身の部分に力を入れていきましょう。

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