反省だけでは情状の要素として不足してる?情状の観点3つを解説します【国選・刑事弁護の実務】
目次
認めの事件の弁護活動を進めていると、本人も認めているうえ、何も提出する弁号証もない…ということも往々にしてあります。
しかし、それでは、せっかく弁護人がついているのに、となってしまいます。
そこで、今回は、どうしても情状の資料がない、という場合に様々な観点から確認して、本当に見るべき情状事情がないのか確認していきます。
情状で検討するべき観点① 本人の反省態度
反省と一言にいっても、裁判への顕出の仕方は、色々あります。
例えば、
- 逮捕直後から反省していること(時期の観点)
- 逮捕直後から公判期日まで一貫して反省していること(期間の観点)
- 何が原因で当該事件を引き起こしてしまい、今後の具体的な対策(反省の掘り下げの観点)
- 実際に、被害者に伝えたこと(行動に移しているかの観点)
などが考えられます。
時期を証拠として裁判所に出す際には、被告人質問だけでは、信用性が足りない可能性があるので、
- 郵便局で消印をもらう
- 捜査段階で準抗告等の資料に添付しておく
- 弁護人の報告書
などで提出して立証します。
このように、同じ反省でも、色々な表現の仕方があります。
情状で検討するべき観点② 更生環境
一般に身元引受書や情状証人で親族に出頭してもらうことがよくあるでしょう。
また、仕事先の協力体制など、被告人が社会に復帰した際に、自分で稼いで自分で食べていくという普通の生活をできる見込みが高いことを出したりもします。ふつうは、赤の他人にこんなに協力してくれないのに、という文脈で顕出したりもします。
これに加えて、その被告人が事件に至ってしまった原因の特定と解消見込みを顕出することも考えられます。
例えば、アルコール依存症などが直接の原因とまでいえずとも、遠因とはなっている場合にも、社会復帰後すぐに治療を開始できるよう病院に許可など取っておくなど裁判に顕出することができます。
情状で検討するべき観点③ 社会内での更生が望ましい
これは薬物事件などでよくありますが、
- 通院のために社会内にいることの方が、必要な治療を受けることできるという場合
- 自助グループに参加することになっている場合
- 依存に向き合うという意味で誘惑ある社会内で治療する必要がある場合
などに主張します。
実際に、治療が必要な診断書や入所等する予定になっている書面の提出などをします。
情状弁護は、アイデア次第で資料の充実化が図れる
情状弁護は、事件、ひいてはその人の人生に注目して、今後、更生できるだろうかという観点も重要です。
その観点から考えれば、手元にある資料に満足せず、アイデア次第でより多くの資料を裁判所に提出するよう努力できるでしょう。
しかし、最初のうちは、経験も少ないですから、とっかかりとなるアイデアの種を参照する必要があります。
事務所内の既済記録を参照するのもよいですし、事務所の枠を超えるために書籍を参照することもおすすめします。
まとめ
このように、情状弁護は、工夫次第で資料の充実化を図ることができます。
様々な観点で、その人、事件を見て、考えて多くの情状を裁判所に顕出しましょう。
それでは、本日もお仕事がんばってください。
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