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初めての離婚相談で聴取するべきことチェックリスト【離婚事件の実務】

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初めての離婚相談で聴取するべきことチェックリスト【離婚事件の実務】

初めての離婚相談で聴取するべきことチェックリスト

目次

一般民事を扱う事務所だと、離婚問題を扱うことも多いでしょう。

そのため、初めての家事事件が離婚事件となる方も多いです。

身近な事件類型なだけに、簡単に思いがちですが、意外と検討するべき手続きや請求は多く、項目だけでも念頭に置いておかないと手遅れになることも少なくありません。

そこで、今回は、離婚事件で聴取するべきことを確認し、依頼者を不安にさせない相談方法を確認していきましょう。

離婚自体に関わること

離婚自体について、確認しましょう。

離婚そのものについて、事前に話したことがあるのか、別居する予定の有無など夫婦関係の期間に関わることを確認しましょう。

そこで、離婚自体について確認するべきことは、

  • 離婚の合意の有無
  • 本人の意向
  • いつ結婚したのか
  • 別居の予定又はした日時・期間
  • 離婚原因(ざっくり∵長引く可能性があり、最初では軽く確認するにとどめる)

辺りになります。

意外と正確な婚姻届提出日について把握していない方もいますので、不安がありそうなら、戸籍謄本を取得し、確認しましょう。

離婚事件は、附帯請求が多い

離婚は、身分関係に関わる事項ですから、お金の問題、子どもの問題、年金の問題など多くの問題を伴う事件類型です。

扶養されている方が、同居していた家を出る場合などには、直近の生活費がないとして、仮処分が必要になる場合もあります。

また、DV事案などでは、身体の危険をも伴うケースもあり、多岐にわたる附帯手続きの中で優先順位をつけて動かさなくてはなりません。

離婚に伴う手続き、請求の種類

離婚に伴う手続き、請求には、大きくお金・財産に関わること、子どもの養育に関わることに分かれます。

お金・財産に関わること

お金や財産に関わることとしては、次の事項があります。

  • 婚費
  • 養育費
  • 財産分与
  • 慰謝料
  • 年金分割

婚費・養育費

2つの費用の違いは、ざっくり婚費が別居後離婚するまでの生活費等、養育費が離婚後の子どもの教育費等という点です。

婚費には、親側の生活費を含み、養育費は、これを含まないという差異もあります。

いずれも直近の生活費がない場合などは、仮払い仮処分を求めましょう。

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財産分与

夫婦共有の財産の2分の1、と言葉にすると簡単に見えますが、財産開示がなされないと対応のしようがなく、回収できないことがあります。

まだ別居をしていないのであれば、別居前に調べられる財産は、調査してもらいましょう。

預金通帳すら知らない方も意外と多いので、最低でも銀行名・支店名までは分からないと調査もできないということを伝えて頑張ってもらいましょう。

慰謝料

慰謝料は、不貞だけではなく、DV等による精神的慰謝料を含みます。

この辺りの事情は、本人が一番気にしているということもありますが、話が長くなりがちな事項です。そのため、最初の相談では、できるだけ消滅時効や証拠の喪失に留意できるような事情の聴取にとどめるのも一つです。

相手に対して悪感情を抱いている状況ですから、何でも慰謝料と主張する方が少なくありません。

  • 最後の不法行為日がいつなのか
  • 証拠としては、なにがあるのか
  • 診断書など取得するべき証拠はあるか

という辺りを中心に聴取するとよいでしょう。

年金分割

離婚調停を申し立てる際に、同時に申し立てることを忘れがちな手続きです。

調停の申立ての際には、年金分割情報通知書が必要になりますが、その取得には、請求後2週間程度はかかることになりますので、行う場合には、早めに取り掛かりましょう。

基本的には、0.5(半分)として認められることが多いですが、依頼者に確答することは避けるべきでしょう。

なお、離婚してから2年以内に請求しなければ、請求できなくなります。期間徒過により1000万円の損賠責任を認められた弁護士もいますので、十分に気を付けましょう。

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子どもに関わること

離婚の交渉の前に争いが顕在化している場合とそうでない場合とで必要な手続きが異なります。

争いが顕在化している場合

共同親権が原則ですから、別居期間中も両親いずれにも親権があります。

しかし、これでは子の取り合いに発展してしまいますので、どちらが子を監護するべきか決める必要があります。

任意の交渉で決まらない場合には、

  • 子の監護者の指定調停

を申立てる必要があります。

また、どうしても取り合いが激しい場合などは、

  • 審判前の保全処分

を申立てる場合もあります。

そして、虐待事案などでは、身体の安全も危ないので、

  • 人身保護請求

も行う必要があります。

いずれの手続きも緊急対応を要求される場合が多いです。

判断要素として現状維持の原則がありますが、これは数日で認められてしまうこともあります。

争いが顕在化していない場合

離婚調停の申立てと共に

  • 親権者の指定

も申立てれば足りるでしょう。

また、親権者は相手でいいが会いたい又は会わせることで養育費支払の動機付けとするなどの場合には、

  • 面会交流の申立て

も行います。

依頼者は、見通しを気にする

依頼者は、不安があるから相談に来ます。

経験がないうちは、仕方がないですが、難解な事件以外は、扱ったことがないなどという言い訳は通じないでしょう。

良いも悪いも依頼者は、見通しを聞くことで安心して任せることができます。

そのため、扱ったことはなくとも、その後の手続きの流れを説明できるなど、何等かのかたちでの見通しの説明ができる準備はしておくべきでしょう。

まとめ

このように離婚事件の相談では、附随する手続き等が多いがゆえに、聞くべきことが多岐にわたります。

そのうえ、これまで溜まりにたまった不満が、離婚の場面で爆発し、聞いてほしい話があるという依頼者も少なくありません。

しかし、相談時間は有限です。

その後の対応で後手にならないために、ざっくりとでも附随手続きについて念頭に置きながら相談することができると依頼者も安心してくれるでしょう。

では、本日もお仕事がんばってください。

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