しかるべくだけじゃない証拠意見のセリフ
目次
初回の刑事裁判は、初めての法廷に緊張が止まらないでしょう。
公判期日までに万全の準備で臨みたいものです。
しかし、証拠意見など、条文に載っている言葉だけを見ても、法廷で実際に発言する際の具体的セリフ・言い回しは探してもなかなか見つかりません。
そこで、今回は、法廷で、焦らないために各証拠意見について、具体的なセリフを確認していきましょう。
証拠意見を言うタイミング
検察官による証拠調請求が済んだあと、裁判官から「弁護人の意見は?」と聞かれます。
その場で発言せずに進むパターン
事前に検察官と調整が済んでおり、裁判所に証拠意見書を提出している場合です。
この場合は、「証拠意見書記載の通りです。」とだけ回答すれば足ります。
その場で発言しなければならないパターン
事前に証拠意見書が提出できていない場合には、その場で回答する必要があります。
証拠の種類
証拠には、
- 証拠物
- 書証
- 人証
があります。それぞれ、回答するべき意見が異なります。
証拠物・人証
関連性又は必要性についての意見を述べます。
- 問題ない場合…「しかるべく」
- 自然的関連性を問題視…「本件とはおよそ自然的関連性すらないため、異議があります。」
- 法律的関連性を問題視…「前科の事情は、被告人の悪性格を立証するもので誤審を招く可能性があり、異議があります。」
- 必要性を問題視…「必要性がありません。」
書証
書証は、供述証拠と非供述証拠があります。
供述証拠
甲号証(被告人以外の供述)と乙号証(被告人の供述)があります。
- 同意する場合…「同意します。」
- 特信情況を問題視…「不同意です。○○であるため、特信情況もないです。」
- 任意性を問題視…「不同意です。○○であるため、任意性もありません。」
- 一部同意する場合…「○○の部分を除く部分について、同意します。」
上記意見を述べても、伝聞例外を主張される場合もあります。
その場合は、証拠物等と同様に関連性又は必要性の問題点を指摘します。
非供述証拠
証拠物等と同様です。
- 問題ない場合…「しかるべく」
- 自然的関連性を問題視…「本件とはおよそ自然的関連性すらないため、異議があります。」
- 法律的関連性を問題視…「前科の事情は、被告人の悪性格を立証するもので誤審を招く可能性があり、異議があります。」
- 必要性を問題視…「必要性がありません。」
まとめ
証拠意見は、公判期日前に検察官と調整しておくとスムーズに進みやすいです。
もっとも、必ずしもすべて調整できるわけではありません。
そのような場合には、伝聞例外での争いになったときまでも含めて、シミュレーションし、その場ですぐに回答できるよう準備しておきましょう。
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