【家事調停の申立方法】必要な書類とその確認方法
目次
初めての相談も終わり、やっと申立て、という段階で、家事調停の申立てにあたり、どこから手を付けたらいいかわからない…など悩みは尽きません。
この記事では、次のようなお悩みを想定して記載しています。
- どこに申し立てればいいんだろう
- 調停を申し立てるにあたり、どんな書類が必要なんだろう
- 必要な書類は分かったけど、どこで集めればいいのだろう
こういったお悩みについて今回は、深堀りしていきたいと思います。
管轄
どこに申し立てればいいのか
どこに申し立てるか、については、裁判所の管轄を調べる必要があります。
家事事件においての管轄は、相手の住所地になります。
そして、各裁判所によって、事件の取り扱いや運用が少しずつ異なります。
具体的には、各種書式や予納郵券の額などです。
そのため、まず管轄を調査する必要があります。
相手の住所地だと遠くて都合が悪い場合(審判の検討)
相手の住所地での申立をすると、遠すぎて依頼者の費用負担が大きくなるなど利益を損なう場合があります。
この場合、例えば遺産分割「審判」にすれば、被相続人の最後の住所地ということで、いきなり審判によりたいという場合もあります。
しかし、裁判所の方で移送されてしまう可能性が高いでしょう。
そこで、依頼者の負担をなるべく軽くするため、電話会議システムの利用を検討するべきでしょう。
もっとも、初回は、出頭を要求されたり、離婚事件などの身分にかかわる事件だと出頭が要求されたりするので、全部が全部電話会議では対応してもらいえないことも念頭に置く必要があります。
家事調停を申し立てるにあたり、必要な書類
家事調停を申し立てるにあたり、次のような書類が必要になります。
以下では、離婚事件や遺産分割調停を念頭に置いて説明していきます。
- 申立書
- 家事事件手続委任状
- 収入印紙(申立費用)
- 予納郵券
- 各類型の必要書類
このような書類が必須になります。
1 申立書
申立書は、事務所により異なりますが、
- 他の訴訟事件と同様に自分でイチから作成する場合
- 裁判所のHPにある書式に記載していく場合
があります。それぞれ事務所ごとの方針がありますので、それに従ってください。
後者の裁判所の書式を使用する場合は、各家庭裁判所のHP上に書式のダウンロードページがあることが多いです。
ただ、多くの家庭裁判所のHP上では、PDF形式でのダウンロードしかできず、PC上で直接書込みして作成することができない場合が少なくありません。
いちいち印刷して直筆で作成しているといくら時間があっても足りませんので、直接書込み作成する方法を検討する必要があります。
そこで、私は、以下の方法で対応しています。
- 東京家裁のHP上のワード形式のものを利用する
- 各家庭裁判所のHP上からPDF形式でダウンロードし、PDFに直接書込みができるソフトを利用する
- 同様にダウンロードした上で、ワード形式など編集できる形式に変更して作成する
東京家裁のHP上のワード形式のものを利用する
東京家裁には、ワード形式での書式がアップロードされています。
※↓↓↓東京家裁の書式のページ(家事事件の各種事件の書式がまとまっています。)↓↓↓
https://www.courts.go.jp/tokyo-f/saiban/tetuzuki/syosiki02/index.html
少し面倒ですが、私が利用する際には、バージョン等もあると思いますので、毎回ダウンロードした上で、自分が申立てをする先の家庭裁判所のHP上にあるPDF形式の書式と見比べて違いがないか確認してから利用しています。
これまでズレがあったことはあまりないですが、「添付書類」部分や細かな表現が異なったりするので、面倒であれば、次の方法による方がいいでしょう。
各家庭裁判所のHP上からPDF形式でダウンロードし、PDFに直接書込みができるソフトを利用する
これは、変換ソフトを利用する必要があります。
私は、Adobe Acrobat Reader DCというソフトを使用しています。
これにより、本来は、直接書込みができないPDF形式の書式に書込みができるようになります。
この機能は有料版(月1380円~)のみの機能になりますが、7日間無料で利用できるので、単発の利用ならその期間で十分です。
※↓↓↓Adobe Acrobat Reader DCのサイトになります。↓↓↓
https://acrobat.adobe.com/jp/ja/acrobat/pricing.html?trackingid=98SH4S9J
なお、有料版は、2種類(プロとスタンダード)ですが、PDFに直接書き込む機能は、標準のスタンダードの方で利用できます。
同様にダウンロードした上で、ワード形式など編集できる形式に変更して作成する
上記のソフトによれば、PDFファイルをワード形式へ変更して利用することもできます。
私は、面倒くさがりなので、少しのお金でその面倒が消えるならと、ソフトを利用しています。
2 家事事件手続委任状
新人の頃は、よく作成してもらいそびれてしまうことも多かったです。
申立時点までには、依頼者の方に作成してもらいましょう。
緊急の申立ての場合で、依頼者の方が日中働いている方だと入手が困難になることが多いですから、依頼していただく方向である場合には、初回相談の際に、作成してもらってしまいましょう(そうすると電話予約の時点で、印鑑をご持参いただくよう伝えておく方がスムーズになります。)。
また、新人の先生が入所したばかりだと、まだ事務所所定の書式の中に自分の名前が入っていないということも少なくないでしょうから、念のため、時間を見つけて一通りの委任状類に自分の名前が入っているかも確認しておくとよいでしょう。
3 収入印紙(申立費用)
必要な収入印紙の調べ方
収入印紙は、手続きごとに決まっています。
東京であれば、先ほども引用した下記の東京家裁の書式集のページに記載されています。
各種手続きの「説明」とあるファイルをダウンロードすると必要な収入印紙が記載されています。
※↓↓↓東京家裁の書式集のページ↓↓↓
https://www.courts.go.jp/tokyo-f/saiban/tetuzuki/syosiki02/index.html
その他の家庭裁判所でも、同様に掲載されていることが多いです。
また、訟廷日誌の便覧の方にも掲載されていますので、それを確認してもいいです。
収入印紙の購入の仕方
事務所ごとで既に事務局で購入してあるということもあると思いますが、最初のうちは自分で購入しに行かされるということもあるでしょう。
収入印紙は、法務局や裁判所の売店で購入できます。
最初だけでなく、今後もということであれば、時間のある際に、よく申立てる類型の事件用にストックを用意しておくと良いでしょう。
4 予納郵券
予納郵券も、上記の収入印紙と同様に各家庭裁判所のHP上に掲載されていることがあります。
しかし、収入印紙の場合と比して、掲載されていない場合が多く、裁判所に問い合わせることが少なくありません。
訟廷日誌の便覧にも、切手の値段変更があってから、掲載がなくなりました。
私と同じように、全部自分で事務作業を行う場合に、いちいち郵便局に購入しに行っていては時間のロスが多すぎますので、時間のある際に、ストックを集めておきましょう。
5 各種類型の必要書類
これらは、各種類型ごとになりますので、こちらに掲載しきれません。
もっとも、例えば東京であれば、これまでも引用してきた書式集の「説明」に記載されていることが多いので参考にすると良いでしょう。
※↓↓↓東京家裁の書式集のページ↓↓↓
https://www.courts.go.jp/tokyo-f/saiban/tetuzuki/syosiki02/index.html
なお、参照する際には、原本で必要な書類と写しで必要な書類、副本が何通必要なのかといったあたりを中心に見ておくと良いでしょう。
まとめ
これで大枠の動きはイメージできたかと思います。
最初のうちは、不慣れですから、一つ確認したらまた分からないことが出てきて再調査…ということで兄弁たちが余裕でやっていることもスムーズにできないのが当然です。
疲れることも多いと思いますが、上記のように大枠から固めていくというように割り切って最初のつらい時期を乗り越えてもらえればと思います。
このサイトでは、他にも新人弁護士の先生方に役立つような内容を随時アップしていきますので、よければ、また読んでいただけると幸いです。
お仕事がんばってください!
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