言わなきゃ証拠は開示されない!証拠開示の手続きを解説します
目次
公判請求されると、次は公判期日に向けて準備を行う必要があります。
今回は、公判期日までの準備のうち、証拠開示の手続きについて確認していきましょう。
なお、通常の公判手続きを前提としています。
証拠開示の手続きは弁護人が動かなければ始まらない
公判前整理手続きに付されている事件の場合は、請求予定の証拠の開示は検察官主導で行われます。
しかし、そうでない通常の刑事事件の場合は、証拠開示は、請求予定のものであれ、検察官の任意で開示されます。
基本的に検察官も開示してくれますが、弁護人が問い合わせなければ開示の手続きに入りません。
証拠開示の手続きの段取り
上記のように弁護人主導で手続きを進めることもあり、公判請求され次第、検察官に対し、開示を求める必要があります。
このとき、まだ準備中であるとして断られる場合があります。
その場合も、開示予定を確認したり、場合によっては一部でも開示を求める必要があるでしょう。
また、その際に。後述する任意開示証拠についても存在や開示可能性について確認しておくとよいでしょう(※もっともこの時点では、存在しそうな証拠の種類すら特定できていないことも少なくないと思いますので、軽く触れる程度で良いでしょう)。
指定期日までの期間にもよりますが、基本的にはタイトなスケジュールですから、段取りよく進める必要があります。
開示可能になった場合の通知
庁によって扱いは異なると思いますが、開示できるようになっても、弁護人には通知などは来ません。
そのため、開示予定時期に再度、こちらから連絡する必要があります(この辺りの制度は改善してほしいものですが)。
開示できるとのことであれば、閲覧・謄写の予定時期を伝えましょう。
謄写係に依頼するという場合であれば、気にする必要はないですが、自分で閲覧等しに行くという場合にかなり待たされる可能性があります。
(※私は、予め伝えておいてもなお、1時間近く待たされたうえ、結局その日に開示を受けることができなかったことがあります。)
開示証拠の閲覧・謄写
閲覧も謄写も閲覧室で行います。
謄写の場合は、写真撮影によるときは、通信機能を有しないデジカメでのみ行うことができます。
庁によりますが、スマホでは撮影できません(この辺りは不便です)。
これも庁によりますが、コピーは謄写係の方しか使用できません。
閲覧等を受けると、証拠意見の予定を聞かれる扱いとなっている庁があります。
謄写の場合、その場では読んでおらず分かりませんし、謄写係の方に頼んだ場合は特に聞かれもしません。
そのため、基本的には、私は期日の1週間前程度の回答としています。
証拠の検討
証拠の謄写等が終わったら、証拠を検討します。
証拠を検討していると、弾劾したい供述があるなど、他の時点の同一供述者の供述がほしくなる場面があります。
そのような場合には、任意の証拠開示の要求を検討することになります。
任意開示の要求
ここでは、あえて請求ではなく「要求」としました。
あくまで任意の証拠開示を求めるためです。
先の例で考えると、請求予定の証拠内の供述調書が検察官面前調書である場合に、同一の供述者の警察官面前調書の存在を考えます。
そこで、この場合には、検察官に対し、当該供述者の警察官面前調書や他の調書があれば開示を願うと要求します。
また、この場合も含まれますが、任意開示を要求する場合には、公判前に付された事件における類型証拠の各類型に載せて理由を述べると開示がスムーズです。
手続きが異なれば、検察官は、開示することになっていたというような発想があるのかもしれません。
まとめ
以上が、刑事事件における証拠開示の手続きの流れになります。
刑事事件はタイトなスケジュールですから、各手続のあとに何の手続きがあるのか念頭に置きながら前倒し前倒しで計画・行動していく必要があります。
本記事が少しでもお役に立てば幸いです。
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