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2回目でも執行猶予を目指せ!薬物事件における情状弁護【刑事弁護の実務】

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2回目でも執行猶予を目指せ!薬物事件における情状弁護【刑事弁護の実務】

2回目でも執行猶予を目指せ!薬物事件における情状弁護

目次

薬物事件は、覚醒剤の自己使用などがあります。

繰り返し行う傾向の多いもので、被疑者が資産をあまり有していないということが多い類型ですから、国選事件であたることが多いです。

そのため、新人弁護士が最初にあたりやすい事件類型といえるでしょう。

そこで、今回は、薬物事件で、認めている場合の情状弁護活動について確認していきましょう。

情状として法廷に顕出すべき事項

被害者を観念できない類型の事件ですから、その他の事件では減刑事由とされやすい示談書など被害法益の回復の観点が検出できません。

そして、同種前科の数が多い類型でもあります。

そのため、できるだけ、本人の反省態度や更生環境の存在をプッシュしていくことになろうかと思います。

  • 反省態度
  • 更生環境の存在

本人の反省態度

反省文など被告人本人が作成するような書面は、基本的には被告人質問で聞けばいいものなので、同意される可能性は低いです。

そのため、例えば、本人が薬物依存に関する診察を受けたことや、今後施設入所を希望していることなどを示せると具体的に行動に現れているということを示すことができます。

  • 薬物依存のための治療に関する診断書
  • 入所希望先の施設長からの陳述書や人証

更生環境の存在

更生環境は、現に存在する環境を弁護人が整備してあげる場合や新しく更生しやすい環境を作出してあげる場合などが考えられます。

現に存在する環境としては、それまで不仲だった家族との関係を修復してあげることなどが考えられます。

また、新しく更生しやすい環境を作出してあげる場合には、経済状況が悪いということであれば生活保護の受給をできるような活動や、上記のように依存症治療のための施設とつないであげることなどが考えられます。

  • 家族との関係修復
  • 生活保護
  • 施設との連携

法廷への顕出の仕方

上記のような活動を行ったうえで、法廷に顕出しなければなりません。

そこで、これまで述べてきたように、診断書や家族からの嘆願書など、名目は問わず、その存在を示すことができる書証を作成したり、関係者の人証を請求しましょう。

  • 診断書などの書証
  • 関係者の人証請求

裁判所に理解してもらう

このようにして証拠で裁判所に提出してからは、弁護人の考える評価を導いてもらえるように説得をしなければなりません。

イメージとしては、証拠によって提出した点と点を説得力という線で結ぶといったイメージです。

線として用いるものとしては、被告人質問と冒陳、最終弁論があります。

被告人質問は、書証のうち被告人が関与しているものについて、補強したり、どうしても書証で作成できない点を作るために用います。

また、冒陳では評価を述べることはできませんが、裁判所が証拠に触れる前に被告人に有利な先入観を持たせるために用います。

そして、最終弁論では、それまで裁判所に顕出させた事実という点を被告人に有利なように説得するために用いるということになります。

まとめ

以上が薬物事件における情状弁護活動になります。

その他にも創造しながら工夫を施してほしいですが、新人のうちは、上記を基本として弁護活動をがんばってほしいと思います。

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